2012.05.14 Monday 19:32

小沢問題の憂鬱

 

 小沢一郎氏をめぐる裁判は、控訴によってさらに長引くことになった。検察による情報操作が事の発端であることはほぼ明らかになったにもかかわらず指定弁護士が控訴したのは、民意や世論を忖度したからであろう。さらに当分、小沢問題が政党政治の本来の議論を阻むかと思うと、実に憂鬱である。

 刑事裁判に対する国民の誤解が政党政治本来の活動を妨げている点に、日本の不幸がある。刑事裁判では、検察側が被告人の犯罪を立証できるかどうかがすべてである。被告人が悪い奴かどうかは関係ない。それは、政治家が被告となっても同じである。

 小沢氏の「金権体質」がけしからんと思うなら、それは刑事法廷で裁く話ではない。あくまで国会や選挙の場で国民が責任を追及すればよい。

 今の日本には、善人でも悪人でもいいから、的確な政策を決定、実行できる政治家が必要である。私自身は、かつてほどではないが、小沢氏にそのような役割を果たせる可能性が残っていると思っている。小沢氏には、マニフェスト遵守などという形式論ではなく、何のために政権交代を起こし、政治家人生の最後に何をしたいのかを語ってもらいたいのだ。

 けしからん政治家を懲らしめたい民意とは、政治の不在を嘆きつつ、自ら政治不在を長引かせる矛盾したものである。

東京新聞5月13日


2012.05.14 Monday 19:31

5月16日政治学入門資料

 5月16日の政治学入門パワーポイント原稿です

2012.05.09 Wednesday 16:39

政治学入門5月9日の資料

 先日アップした資料は先週のものという指摘がありました。
こちらのミスで迷惑をかけて済みませんでした。
こちらが5月9日の資料です。

2012.05.07 Monday 18:47

怨恨の政治に終止符を

 

 四月二六日に小沢一郎、元民主党幹事長が政治資金規正法違反に問われた事件で無罪判決が出て、政界の行方は一層不透明になった感がある。早速消費税率引き上げをめぐって、野田佳彦首相と小沢元幹事長の舌戦が始まった。双方とも、民主党などどうなってもよいという捨て鉢な気分を感じる。それぞれ、責任や国民との約束などと大仰な言葉を使っているが、互いに足を引っ張り合って政党政治を麻痺させることこそ、国民に対する最大の裏切りである。

 野田政権の最大課題とされる消費税率の引き上げは、あくまで手段に関する問題である。税金とは、我々がよりよい世の中を作り出すために必要な拠出金である。我々がどのような社会を目指すのかを議論し、ある程度の合意ができるならば、税金の集め方についてそれほど多くの選択肢が残るわけではない。安定財源としての消費税を無視することはできない。低所得者に対する逆進性対策や中小企業による価格転嫁を可能にするための仕組みを工夫するのはそれほど難しい話ではない。

 同じ民主党という政党にいながら、そしてつい三年前に国民に対して新しい政治を訴えて政権交代を実現したはずの有力な政治家が、これからどのような社会を目指すかについて、身のある議論をすることもなく、政策手段をめぐっていがみ合うという姿は、日本の政党政治の未熟を物語ってあまりある光景である。

 政策決定の前提となる手続き論や、議論に参加する政治家の資格要件をめぐる議論は、すべて本質的な政策論議を回避するための誤魔化しである。変動する政治課題に向き合いながら政権を運営する中でマニフェストに書いていないことに着手する必要が生じることはむしろ当たり前である。また、小沢氏が金に汚い政治家だという批判をしたい人の気持ちは分かるが、今回の事件は検察の暴走の結果であり、政策課題に取り組む際に政治家のクリーンさをあげつらうのは的はずれだと私は考える。あるいは、増税の前にやることがあるというのは、永遠に言い続けられる先送りのスローガンである。

 政権交代から三年が経とうとする今、民主党は政権交代の意義と限界について自ら厳しく総括しなければならない。まず何よりも、この経験が日本の民主政治の歴史にとって大きな意味があったことを国民に証しなければならない。新しい公共や貧困対策のように、政権が代わることによって今まで官僚や政治家の厚い壁に阻まれていた政策が実現したのである。民主党が過度に自虐的になることは、それを選んだ国民を侮蔑することである。

 同時に、民主党は絶好の好機を生かせなかったことについて厳しく反省し、自ら敗因を明らかにすべきである。その敗因の一つは、鳩山政権退陣以降、民主党内が親小沢と反小沢に分裂し、政策実現や原発事故に現れた官僚支配の打破に政治家のエネルギーを結集できなかった点にある。

 自民党は、出来の善し悪しは別にして憲法改正案の骨子を示し、次期総選挙に向けた姿勢を明確にしようとしている。民主党はどんな日本を目指すのか。三年前に示した「国民の生活が第一。」というスローガンは、今後も有効性を持つと私は考える。自助を基調とする自民党の改憲案との間で、争点は明確になる。

 ただし、生活第一を実現するためには金がかかる。無駄を省いて経常的に十兆円規模の歳入を確保するというのは、空想論である。この通常国会での消費税率引き上げに固執しないで、十年後、二十年後の日本の姿をどうするかを徹底的に議論して、生活第一の具体像を共有する努力を最後まで払って欲しい。政治家が怨念や怨恨で動けば、政党政治は国民から見放される。野田首相も、小沢氏も、大義名分を明らかにして行動しなければ、政党政治を破壊した元凶として、後世から非難を受けるであろう。

熊本日日新聞5月6日


2012.05.07 Monday 18:45

憲法を考える

 

 憲法施行から六五年経った。自民党が憲法改正案を公表し、大阪維新の会も統治機構の変革に熱心で、憲法論議が盛り上がるのかも知れない。しかし、憲法を改正すれば理想の国ができるというのは、錯覚である。

 自民党の改憲案は、相変わらずのアナクロニズムである。この党の政治家は、憲法を国民が拳拳服膺すべき精神訓話のように思っている。それは聖徳太子の憲法の話であって、近代国家の憲法ではない。憲法は主権者たる国民が権力を動かすためのマニュアルである。野党自民党を応援する奇特な支持者は、伝統的な意味でのナショナリストが多いので、自民党の改憲論議もそちらに引きずられるのだろう。谷垣総裁個人の考えとは逆に進むようで、何とも痛々しい。

 権力を動かすマニュアルという意味では、大阪維新の会の統治機構改変論議は魅力的に響く。しかし、わざわざ複雑な操作方法を盛り込む必要はない。今の日本の政治制度は民主主義国の標準装備であり、制度が悪いから政治がダメになったわけではない。

 憲法を論じたがる政治家が真っ先に実行しなければならないのは、国会の定数不均衡の是正である。目の前の問題を棚上げにして高邁な理想論を語るのは、不誠実の極みであり、それこそ政治家の真贋を見分ける格好の物差しになる。

東京新聞5月6日


2012.05.07 Monday 18:44

5月9日政治学入門パワーポイント資料

 5月9日の講義資料です。

2012.05.01 Tuesday 13:42

5月2日政治学入門

 連休の谷間ですが、いつも通り授業をします。出席したからといって、特段のご褒美はありませんが、皆さんの参加を待っています。
5月2日政治学入門のパワーポイント資料です。

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