2015.01.12 Monday 14:58

70年の宣言

 近所の小学校で、創立70周年を記念して、新しい子供宣言を作るそうだ。生徒会長のアベ君は妙に張り切っている。

「ずっと前の先輩が隣の学校の子供をいじめたからといって、いつまでもうちの学校の生徒がいじめっ子というレッテルを貼られるのはおかしい。ボクは未来嗜好の宣言を作りたい。ついでに、3組はボクに楯突くオナガを学級委員に選びやがって、あんな連中はうちの学校の生徒じゃないから無視しちゃおう。」

すると、学校きっての秀才、キタオカ君も加勢した。

「昔の先輩と僕たちは別人格だ。それを一緒こたにするのは、悪しき集団主義的発想だよ。」

さすがに神童は難しい言葉を使う。

そんな高飛車な態度でいいのかなあと心配する善良な子供も大勢いたが、違うよと言える雰囲気ではなかった。どこかから話を聞きつけた担任の大浜先生が駆け込んできた。

「君たち、自分はいつも優等生ですなんていうバカげた宣言を世の中に向かってするつもりなの。それでほかの学校の生徒との仲がますます悪くなったら、先生は困ります。」

すごい剣幕だ。すると、間髪をいれず、アベ君が言った。

「だからボクは最初から言ってるでしょ。うちの学校の歴史を嫌嘘に振り返って、犯性の気持ちを表現しなきゃあって。」

「・・・・」


東京新聞1月11日


2015.01.05 Monday 15:00

2015年の目当て

 新年には抱負が付き物だが、私はその種の目標を見失って久しい。何か立派な目標を目指すというより、目の前に次々と現れる問題や矛盾と戦うので精一杯という生き方が何年も続いているように思う。

 ただ最近、世の中の様々な問題を見るにつけ、また自分がいる大学という世界で仕事をするにつけ、当たり前のことが当たり前に通る時代になってほしいと強く願うようになった。18時間働けば食べていくための賃金を得られる。若い人たちは好きな相手を見つけて家庭を作り、子供を産み育てる。自分の国には愛着を持つが、過去に自国が他国に対して行った悪行については謝る。他にもいろいろな当たり前があるだろう。

 困ったことに、多くの当り前は時代遅れとか、金儲けの邪魔とみなされて、それらを取り払うことが改革ともてはやされるようになって、何年もたつ。さらに困ったことに、当たり前が希少価値になると、当たり前を大事にしようとする人々が特権にしがみつくと非難され、当たり前が例外になってしまう。

 まずは、当たり前を軽んじる「スーパー」とか「輝く」なんていう大仰な修飾語を使わないようにしよう。大仰な宣伝文句を信じないようにしよう。


東京新聞1月4日


2014.12.29 Monday 15:02

入試改革の愚

 2020年に大学入試を変えるという方針を中央教育審議会が打ち出した。センター試験の廃止、学力偏重からの脱却など、今までにない大きな変更である。この提言がそのまま実現されれば、大学はますます疲弊し、高等教育は荒廃するだろう。

 つい数年前に、学力低下はけしからんという圧倒的世論のもとで、子供たちの勉強量を増やしたばかりである。人物重視といわれて、高校生はどんな準備をすればよいのだろう。

 多少学力が低くても、プレゼンテーション能力や人間力で若者を選抜するなど、大学と企業を同一視する間違いである。そんなことになれば、「大人になったら俳優として大成できない天才子役」のような人間が大学に入ってくることになる。そういう若者は世間をなめていて、教育による伸びしろがない。

 日本の公的教育予算の対GDP比は、先進国中最低レベルである。このうえ、複雑な入試で大学と高校生を振り回すとは、教育が政治のおもちゃにされているとしか思えない。文科省は二言目には「グローバル化」という掛け声で大学に常に変化を求めるが、多動症の教師にはまともな研究、教育はできない。この国の教育政策はガラパゴス化の道をひた走っている。


東京新聞12月28日


2014.12.22 Monday 15:06

政治的詐欺


 選挙は自民党大勝という結果となり、形の上では安倍政権が国民の信任を得たことになる。案の定というべきか、安倍政権は選挙戦中ほとんど議論しなかった憲法改正などのテーマを含めて、自民党の政策は国民の支持を得たと自称している。

 そして、原発再稼働に向けて原子力規制委員会は、高浜原発が規制基準をクリアしているとの原案を了承した。経済界に向けては来年春に賃上げをするよう要請する一方で、介護労働者の賃金は削減するという方針が明らかにされた。また、子育て給付金が来年度は休止したいという方針も明らかにされた。

 選挙期間中は、安倍首相も自民党も猫をかぶっていただけである。選挙が終われば何をやっても大丈夫と、開き直っている。多少は世論の反発を受けるかもしれないが、次の選挙まで覚えている人などいないと、多寡をくくっている。要するに国民はなめられているのである。その意味で今の為政者は、詐欺師同然である。

 選挙後の世論調査では、安倍政権の政策には反対だが、野党にはもっと期待できないという民意が明らかになった。しかし、誰がやっても同じというわけではない。選挙で白紙委任を手に入れたのち、国民を痛めつける政策を展開する政治家を選んだことに人々が気づけば、政治の流れも変わるだろう。


東京新聞12月21日


2014.12.15 Monday 15:04

投票に行こう


 今日は衆議院議員選挙の投票日である。盛り上がりを欠く選挙戦と言われ、テレビ番組でも選挙を特集する者はこれまでよりも大きく減ったとも伝えられている。世論調査に表れた関心の低さが反映されれば、投票率は戦後史上最低を記録するかもしれない。

 選挙に棄権することは、国民が主権を行使する機会を逃すという点でもったいないだけでなく、大きな罪である。70年前の戦争について、戦後生まれの我々は親の世代に対してなぜ戦争を止めなかったのかと詰問した。親たちは、あの時代、自由も民主主義もなかったから、負ける戦争と分かっていても反対できなかったと言い訳した。この言い訳は否定しきれない。

 今はどうか。将来、環境破壊や財政破綻で子供や孫の世代の日本人が苦境に陥ることもあるかもしれない。その時には、今の主権者である我々は、なぜ国の未来を真剣に考えてくれなかったのかと詰問されるだろう。一応自由な選挙が行われる今の時代、言い訳はできない。実際、今回の選挙は、争点が不明、論戦がないと言われるが、日本の将来を決定する重要な選択の機会となるだろう。

 魯迅は「希望とは地上の道のようなものだ。もともと地上に道はないが、たくさんの人が歩けばそれが道になる」と言った。民主主義も選挙も、我々が歩くことで道を作る作業である。


東京新聞12月14日


2014.12.08 Monday 22:10

鼻をつまんで投票

 

 小選挙区制が採用されてから久しいが、いまだに日本人はこの制度における投票の仕方を身につけていないようである。小選挙区制では、3位以下の候補者の当選可能性は極めて低くなるので、どうしても候補者の数が限定される。たくさんの選択肢がある比例代表制の場合とは、選ぶ基準も異なるのが当然である。

 そもそも自分の考えと百パーセント一致する政策を掲げる候補者を見つけることは不可能である。小選挙区で選ぶ基準は、ベスト(最善)を探すことではもちろんないし、ベター(より良い)を見つけることでさえない。悪くないものを見分けること、あるいは最悪ではないものを見極めることである。

 有権者はそれぞれ、脱原発など、最も重視する政策争点を持っているであろう。それに照らして、自分が最も起こってほしくないことを回避するために、最悪の政策を進めようとする候補者を最も高い確率で落選させることにつながるよう、投票先を決める。これが小選挙区における選択の仕方である。

 したがって、日頃自分が快く思っていない政党の候補でも、最悪の候補の最有力対抗馬であれば、鼻をつまんでそちらに入れるべきである。その匂いがたまらないという読者は、私にご一報ください。鼻をつまむための強力な洗濯ばさみを進呈します。


東京新聞12月7日


2014.12.01 Monday 22:07

驕る安倍政権

  最高裁判所が参議院議員選挙に関して、定数不均衡を違憲状態と判断した。衆議院についても一票の格差は2倍を超えており、今回の総選挙についても少なくとも違憲状態という判決が出ることが予想される。定数是正を放置し続ければ、無効判決が出るかもしれない。

 首相は自分の権力を強化するために解散権を行使することがある。同じ解散でも、1986年の衆参ダブル選挙の時の中曽根首相と安倍首相とでは、天地の違いがある。86年の時には、違憲状態を解消しなければ解散はできないという常識があった。中曽根首相は定数是正の法律を成立させ、針の穴を通すようなスケジュールで解散にこぎつけた。安倍首相は憲法違反の選挙を行うことに、何の恐れも感じていない。厳しく叱られても実際に罰を受けることはないだろうと高をくくっていたずらを繰り返す子供のようである。

 民放のニュースで紹介された街の声が安倍政権の経済政策に批判的だったことに腹を立て、自民党は放送各社にコメンテーターの起用や市民の声の紹介について「公平」を保つようにお触れを出した。権力に対して疑問を投げかけるのはメディアの役割だが、これまた、批判を聞こうとしない驕った態度である。

 こんな連中が権力を持ち続けてよいのかが、総選挙の最大の争点である。

東京新聞11月30日


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