2016.05.23 Monday 18:54

文明の終わり?

 オリンピック招致をめぐる不正資金疑惑は、日本という国が底なしに腐蝕していることを物語る。東京招致にとっての最大の障害は、福島第一原発事故による放射能汚染への外国の懸念だった。この問題を覆い隠す粉飾工作として、安倍首相の「アンダーコントロール」発言と、コンサルタントへの資金提供は結びつく。表における虚言、裏での買収工作。絵に描いたような腐敗である。  人口減少と財政赤字の日本が世界的な宴を催して経済の浮揚を図り、人心を明るくしようとしても、宴の準備に体力を使い尽くし、宴を楽しむどころではない。さらに宴の後には巨額の請求書が待ち構えている。競技会場の整備費は当初試算の4倍の3千億円に膨らむという新聞報道もあった。  こんな腐蝕した国で安倍首相が全能の権力者のごとくふるまうのは滑稽である。彼が行政府のみならず立法府の長だと自称したのは、議会の多数派の親玉として法も自分の意のままに作り替えられると言いたかったのだろう。しかし、自分の都合の悪いルールは無視してもよいという驕りこそが、日本の腐食の根源である。  政府が粉飾をすれば、日本を代表する企業でも検査データのねつ造やら不正経理が横行する。日本は文明の崩壊に向けて急坂を転がり落ち始めたという危機感を、私たちは持たなければならない。 東京新聞5月22日

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