2017.12.12 Tuesday 16:52

租税国家の危機

 安倍政権の目玉政策、人づくり革命の柱である子育て支援の充実のために、首相は経済界に3千億円の拠出を求めている。この負担の穴埋めのために雇用保険と労災保険の料率を引き下げるという新聞報道もあった。社会保障の財源は祭りの寄付とは違う。これは国の形をゆがめる奇策である。
 近代国家は租税国家と呼ばれる。国家の仕事は国民が払う税金によってまかなうという意味である。安倍政権が子育て支援を充実したいと思うなら、税金によって行うべきである。財源が足りないなら国民に説明し、負担増を提案すればよい。国民がどれだけ税を払い、どれだけの政策的便益を得るかを考えることこそ、民主政治の核心である。
 根拠不明の拠出金で子育て支援の充実を図れば、経済界の慈善で恩恵を及ぼすことになる。この政策の対象となる人々は経済界に恩義を感じさせられるだろう。しかし、それは人々の生きる権利を保障するという公共的政策の意義をそこなう。また、経済界はいつ心変わりして拠出を拒むか分からない。だからこうしたやり方では政策の継続性は確保されない。
 何より、大企業のごまかしや不正が次々と明るみに出る昨今のこと。このような超法規的慈善が企業の犯罪を隠蔽するための隠れ蓑になる恐れもある。こんなくだらない思い付きはつぶさなければならない。

東京新聞12月10日

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