2017.12.12 Tuesday 16:55

世界で一番美しい?

 人間は人から褒められたい、批判されたくないという習性を持っている。毎日、魔法の鏡に向かって世界で一番美しい女性はだれかと問いかけ、それはあなたですと答えてもらって満足していた白雪姫の継母は、そうした自己中心的な人間の極端なモデルである。
 しかし、そうした自己愛は政治家の大敵である。お伽話ではなく、現実の世界では人間は常に誤る存在であり、国全体を誤りに巻き込めば国民が迷惑する。権力者に対しては、あなたは美しいと政治を言っていい気にさせる取り巻きではなく、理非曲直を正す目付け役が必要である。議会とは、権力者が誤っていないかどうかを詮議する目付け役の仕事場である。
 与党が野党の質問時間を大幅に減らそうとしているのは、国会の最も重要な機能を停止させることを意味する。先日の文部科学委員会の審議を見る限り、与党議員は権力者の太鼓持ちである。政府の閣僚と与党議員が大半の時間を費やすなら、国会は国権の最高機関ではなく、最高権力者に向かって世界で一番美しいのはあなたですとお追従を言う、魔法の鏡のようなものに成り下がる。
 審議時間の配分は、目立ちたい政治家同士の駆け引きなどではない。与党が野党の発言の機会そのものを奪おうとすることは、議会政治の危機なのである。

東京新聞11月19日

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