2017.12.12 Tuesday 16:56

永続敗戦の実態

 政治学者、白井聡氏が書いた『永続敗戦論』は日米関係を鋭利に分析する好著である。日米戦争に敗れた後、日本は米国の占領下で政治体制を再構築し、日米安保体制に組み込まれて、外交・安全保障に関しては従属国となった。ナショナリストを自称する保守派の政治家は、安全保障面での対米従属という現実からは目を背け、敗戦による憲法体制の変革に対する怨念を米国ではなく、国内向けに発散してきた。これが同書の要点である。
今回のトランプ訪日とそれをめぐるメディアの報道は、白井氏の議論を実証するものであった。米国は日本を最も重要なパートナーと考えているというのは日本側の勝手な思い込みである。最大のおもてなしであるはずのゴルフの場で、大統領は首相のミスショットにイラついてさっさと先に進み、ツイッターでは日本にたくさん買い物をさせたぜと、品のない自慢を書いていた。
メディア、特にNHKテレビは、もっぱら両首脳の蜜月関係をこれでもかと映していた。従属の現実を覆い隠すために国民を洗脳するようなものである。大統領の言いなりに武器を購入することの是非について深い検証を行ったのは7日の毎日の記事だけだった。
大統領を急いで追いかけようとしてバンカーの縁から転げ落ちた首相の姿は、日本という国そのものの象徴であった。

東京新聞11月12日

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