安倍首相はしつこく憲法改正ムードを作ろうとしているが、およそルールを守る意欲も能力もない政治家に憲法改正を叫ばれると、ふざけるなと言いたくなる。常習犯の泥棒が汝盗むなかれと説教するようなものである。
憲法は国家のアクセサリーではない。為政者が日々実践すべき規範である。また、憲法や法律に明記されていなくても、憲法の前提とも言うべき当然の常識がある。公務員が正確な記録を残すなどもその例である。
安倍政権の異常さは、この種の常識が破壊され、さらに公務員に常識を守るよう監督する立場にある首相以下の閣僚もこの種の非行を黙認した点にある。安倍政権には順法精神がないと言わざるを得ない。
加えて、憲法論議をしたいという者は、当然日本語のルールを守らなければならない。野党議員が自衛隊の日報にあった「戦闘」の意味を尋ねる質問主意書を出したところ、政府は「国語辞典的な意味での戦闘」と自衛隊法などで定義する「戦闘行為」とは異なるという答弁を決定した。犬を見てあれは自分の考える犬ではなく、猫であると言い張るならば、もはや議論は不可能である。
政権の指導者たちは、小学校の国語と道徳からやり直した方がよい。憲法論議は政治家が言葉を正しく使えるようになるまでお預けにするしかない。
東京新聞5月6日
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