基幹統計のずさんさが明らかになり、アベノミクスが効果を上げているかかどうか、疑念が広がっている。統計疑惑のさなかに、政府は29日に月例経済報告を公表し、景気回復が戦後最長となったと見られるとした。
景気回復の実感がないという話は各紙も伝えていた。回復どころか、むしろ日本の経済力が衰弱していることこそが、大問題である。1月30日の他紙に、経済同友会代表幹事、小林喜光氏のインタビューが載っていた。その中で、安倍政権の6年間、見かけ上の企業業績改善の陰で、日本では何の新産業も生まれておらず、日本を引っ張る技術がないことに強い危機感を表明している。日本は老いているという指摘に、門外漢の私も共鳴した。
安倍政治の最大の罪は、世の中に根拠のない多幸感をまき散らしていることである。こんなでたらめな政治を容認する人々が国民の半分前後いること自体が国難である。国の衰退を止める特効薬はない。社会や経済の活気は多事争論の気風から生まれる。バブル崩壊以来、日本は誤った道を進んできたのだから、己の失敗を厳しく認識することからしか、債券は始まらない。愛国心やら日本人らしさやらを学校で若い人に教えこむのはやめた方がよい。自画自賛の人間を育成するのは、将来を危うくする。
東京新聞2月3日
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