2004.01.16 Friday 23:03

02年8月:民主党代表選挙に望むこと

 通常国会も終わり政局の関心事は内閣改造と民主党代表選挙に移った。それにしても、今年の通常国会は史上最低の内容だった。腐敗事件が次々と露呈したにもかかわらず、指導者の緊張感は希薄であった。公共事業を私物化して権力を太らせる政治の構造を放置して、一体いかなる構造改革があり得るのか、国民には皆目わからない。形ばかりの郵政事業改革と医療費自己負担の引き上げが小泉改革の成果だなどと自画自賛されると、雇用や倒産など国民の大事を放っておいて自分の趣味だけで政治をするなと言いたくなる。

 政府与党によるこうしたたるんだ国会運営を許した責任は、最大野党民主党にもある。細川政権ができて自民党が初めて野党になったとき、中曽根康弘元首相は「野党の最大の仕事は政権を倒すことだ」といって自民党の中堅議員を鼓舞したという話がある。同じ言葉を今の民主党に贈りたい。国会終盤、健保法改正案を阻止するチャンスが生まれたとき、民主党の幹部は「健保で政局(衆議院解散)にしたくない」といって、徹底抗戦を避けたという話を同党の若手議員から聞いた。解散に追い込むチャンスをわざわざ逃した末に形の上だけ内閣不信任案を提出するというのは、民主党が批判してやまない五五年体制時代の野党と同じではないか。

 代表選挙について私は一つの危惧を抱いている。鳩山、菅という既存のリーダーに対して若手候補も立候補を表明し、にぎやかな選挙になりそうである。政策論争が盛り上がることは結構だが、論争の結果やはりこの党は一つでいるのは無理だという結論になっては困る。政策的凝集性を求めるあまり、自由党や社民党のような政党が二、三個増えても、日本の政治には何のインパクトもない。現在の選挙制度を前提とすれば、政権交代を起こすためには大きな野党の存在が不可欠である。

 私自身この数年、民主党に日本版中道左派政党を目指せという提言をしてきた。しかし、今の民主党にそうした理念上の結集を求めるのは無理だと思うようになった。民主党は、政権交代を起こすための過渡的な道具だと割り切ればよい。今の時代、政権を取ってもすぐに変えられることは限られている。とりわけ外交安全保障などはその典型である。だとすれば、憲法や安全保障をめぐって弁論大会を開き、あげくの果てに意見の違う者同士が喧嘩をするというのは愚の骨頂である。小泉政権を倒すためには、この政権の最大の弱点である経済政策に的を絞り、国民を納得させる対抗提案を作ることこそが民主党の唯一の課題といってよい。国の姿だの憲法だのという高邁な、言い換えれば空虚な議論はいっさい停止して、民主党は国民の生活という目の前の現実だけに徹底して取り組むべきである。そして、党首選挙を通して最小限の政権綱領を作り、党全体で共有すべきである。

 最後に、横路孝弘前副代表にも一言注文をつけておきたい。政策理念として横路氏の主張に私も違和感はない。しかし、横路氏の行動が旧社会党系の組織防衛としてだけ受け止められ、党内政治に影響力を持つために党首選挙に立候補するという動きの先鞭となったことも、残念ながら事実である。民主党の政策の中に社会民主主義的な要素を最大限反映させるためには、正面から闘って党内の亀裂を深めることは得策ではない。

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