通常国会開幕を前に、藤井財務大臣が辞任し、菅直人氏が後任となった。国家戦略担当大臣の時は、役割や権限が不明確で、その存在は霞んでいた。今回財務大臣就任によって、いよいよ政治家としての真価が問われることとなる。
鳩山政権の政策形成は、実質的に財務官僚の描いた筋書に沿って進められてきた観がある。国債発行額の上限設定も、事業仕分けも、政権は財務省の望む方向に動いてきた。
そもそも事業仕分けは、財務省主計局の無能さを尻ぬぐいする作業であった。政治家や有識者がやり玉に挙げた「ムダ」な事業も、以前に主計官が査定し、予算をつけたものである。あれらの事業に×をつけるならば、そんな予算をつけた主計官にも×をつけなければ、論理は一貫しない。その点の責任を一切隠蔽し、仕分けを政治ショーに仕立てたところに、財務官僚のずるさが表れている。
菅氏にとって、財務官僚を統御することは容易ではない。しかし、自ら『大臣』(岩波新書)という書物の中で打ち出した政治的リーダーシップを実際に発揮するには、絶好の機会である。予算査定に関する情報公開を進め、歳出の優先順位を大胆に入れ替えることに、蛮勇を発揮してもらいたい。デフレ脱却のためには、財務官僚の近視眼的健全財政主義を乗り越える必要がある。(東京新聞1月10日)
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